上海博物館

朝、隣の部屋から大音響で鳴り響く歌のせいで目覚める。シャワーを浴び、今日はゆっくり朝食を食べましょうと思ってエレベーターに乗ると、名古屋に来てもらった先生とそのフィアンセが乗っている。いっしょにホテルのそばの食堂へ。朝食メニューは、粥のつくものか、ミルクのつくものかを選ぶシステムになっていて、中国語がわからないと注文できそうにない。偶然、エレベーターで二人に出会えたのは幸運だった。一般の客に混じって、学会参加者何人かにも会う。その一人は、前日話しかけてくださった方で、娘さんがバークリーでパウンドについて研究しているという。自分の発表の際に、日本の EP 協会のことを紹介してもらったために、協会の雑誌のことについて聞いてきたのであった。娘さんも日本語は読めないのだと思うが、雑誌には英文の文章も載っているので、オンライン版に関する情報を教えてさしあげれば、有益かもしれない。朝食を終え、皆さんと別れて部屋に戻り、メールをいくつか書いてからチェックアウト。帰国便の離陸時間までにはまだかなり時間があるので、タクシーに乗って、上海博物館へ。(豫園に行こうかとも思ったが、キャリオンバッグがあるので、博物館の方を選択。)ホテルの従業員に、博物館へ行ってほしいと運転手に告げてもらう。車は上海市内の高層ビルを縫うように延びる幹線道路を突っ走り、人民公園へ。その一角に立派な博物館が建っている。入館して、セキュリティチェックを受け、荷物を預けて(ここの係員は英語を解した)、1階から順に、英語の解説を読みながら、仏像、陶器、画、書などの展示を眺めていく。数が多くて、とても全部を見ることはできない。印籠の展示や貨幣の展示もあった。少数民族の衣装などの展示もあった。仏像にしても書画にしても、唐や宋の時代の有名どころはおそらくここにはないのだろうが、それでも、仏像をはじめいろいろと面白いものがあり、それらをじっくりと眺め見た。中国人の家族やカップルも大勢いて、熱心に展示品を見ていた。

博物館を出るともう昼を回っていた。何か食べようと思ったが、適切な店を見つけることができない。いっそのこと、以前行った新天地までタクシーで移動しようと考えたが、タクシー乗り場も見あたらず、タクシーを拾うことができない。仕方がないので、また学生風の通行人をつかまえる。一人目は、No, No と言って逃げていったが、次に来た3人組は、またしてもたいへん親切な人たちで、一人は英語もよくできた。タクシーを止めて、運転手に新天地まで行ってくれと中国語で伝えてくれた。とてもありがたい。(地下鉄で行くという手もあったが、タクシーの方をすすめられた。)新天地は予想通り老若男女でごった返していた。観光客なのか、上海に住む人たちかわからないが、みなさん羽振りがよさそうである。中華のレストランに入る。きれいな店で、英語が通じるかと思ったら、そうでもなく、結局 iPad に映し出された写真を見ながら、スープ、水餃子などを注文。隣にはアメリカ人とイギリス人の若手の大学教員らしき人が座っていた。食後、再びタクシーに乗り、空港へ。運転手が指で、1か2かと聞くので、最初、何かと思ったが、ターミナルのことを聞いているのだということがわかり、1と答える。搭乗手続き、セキュリティチェックを経て、ゲートへ。小さな土産を買うと、もうボーディング。行きも帰りも食事が出て、行きはポーク入りうどんを選んで失敗したので、帰りはビーフを頼もうと思っていたら、自分の一人前の客でビーフは終わったという。仕方がないので、帰りもポーク入りうどん。行きは約3時間かかったが、帰りは約2時間。無事、中部国際空港着。名鉄、地下鉄を乗り継いで帰宅。出発時にトラブルはあったが、結果としては有意義な出張だった。上海の皆さんもとても親切でありがたかった。