アメ文全国大会2日目

ホテルをチェックアウトし、昨日のサンマルクカフェで昼食用のパンを買って、地下街を歩いて地下鉄駅まで移動し、会場へ。今日は総会の後、円城塔氏の特別講演。内容はへっぽこ先生のブログで紹介されており、また、講演内容そのものも公開されるようなので、そちらをご覧いただければと思う。スクリーンに言葉や画像が映し出され、また、随所にジョークも差し挟まれた、なかなか楽しい講演だった。Uncreative Writingというトピックは、以前書評で紹介したことのある Unoriginal Genius という本の内容と一部重なるもので、講演では、その本の中でもしばしば言及される Kenneth Goldsmith の名前も出ていた。(質問を聞いていると、書評を読む人はあまりいないということがわかった。)やはり講演でとりあげられていた Franco Moretti の distant reading もしばらく前から注目を集めていたことがら。以前参加させていただいた共訳本も読んでいただければと思う。いずれにしても、講師の作品をまだ読んでいないので、これを機会に読んでみようと思う。

昼休み時間のワークショップは失礼して、午後はカナダ文学のシンポを拝聴。4人の講師の報告のうち2件は詩人に関するもの。それ以外のお二人の報告ともども大いにメモ。Leonard Cohen についての報告に導かれて "Chelsea Hotel #2" の歌詞を確認することになったが、カナダでは放送禁止になったりしないのかといったことを思った。質疑で知ったが、カナダの英語圏とフランス語圏の作家たちの間には大きな溝があるようで、研究者のコミュニティどうしも同様なのだという。昨日はエヴァンジェリンに関する発表もあり、6月には名古屋でカナダ文学会が開催された。9月にはカナダ西海岸の新しい詩人・作家についての発表を聞いた。支部の読書会では昨年ノーベル賞を受賞した Munro の短編集を取りあげることにもなっている。そんなこんなで、カナダ文学がじわじわと身近なものになりつつあるように感じるが、その一方で、カナダについての知識が貧弱なものであるのも確かである。(死んだ友人に教えられて、むかし、Roy Miki の詩集を読んだりもしたのだが ...。)今回のシンポで、新しい作家・詩人のことも教えていただいたので、もう少し勉強してみたい。

これで学会の催しは終了。大きな事故もなかったようで、何よりであった。運営にあたられた先生方には大変お世話になった。どうもありがとうございました。また、お疲れ様でした。

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Unoriginal Genius: Poetry by Other Means in the New Century

Unoriginal Genius: Poetry by Other Means in the New Century

「世界文学史はいかにして可能か」

「世界文学史はいかにして可能か」

Beautiful Losers

Beautiful Losers

シンポでも紹介された Cohen のこの本(1966年出版)、実はまだ読んでいないのである。

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関西の先生といっしょに札幌駅に出て、JR で新千歳へ。駅ビルで、ロイズ関係チョコレートならびにせんべい購入の後、名古屋の先生に遭遇。3人でラーメン道場へ行き、「けやき」という店で味噌ラーメン。これもなかなかうまかった。それからゲートへ移動。前の飛行機はかなり遅れていたが、自分が乗る便は少しばかりの遅れで離陸。途中、台風の影響なのか、少し揺れたが、たいしたトラブルもなく、30分程度の遅れで中部国際空港着。帰りもうとうとしながら、音楽を聴いてきた(Bird and Diz)。空港からは名鉄だが、人身事故があったとかで、少し遅れた。足が悪いせいで乗り換えにも時間がかかり、電車を1本逃すというようなこともあって、結局、家に着いたのは日付が変わる直前ぐらいであった。