2nd CAAP(1日目)

朝の催しがはやいので、必然的に朝食もはやくなる。1階のレストランで、昨日北京経由で到着された T 先生ともお会いする。昨夜は失敗したが、朝食はまずまずの味で安心。朝食後、広い会場へ移動して、華中師範大の副学長をはじめとする関係者、基調講演者らの挨拶。加えて、今回は参加しない会の会長と副会長のメッセージを、3月に日本に来ていただいた Luo 先生が代読される。続いて、記念撮影。今年は運動場ではなく、学内の道に面した段差を利用しての撮影。カメラマンがいろいろ笑わせてくれる。それから、同じ会場に戻って基調講演を拝聴(プログラムはここ)。今回は詩人の Susan Stewart が参加。中国各地で講演やリーディングをしておられたらしい。この日の話はディキンソンの “Loaded Gun” の詩を犬が語る詩として読んでみるというもの。面白いが、はてどうか、と思いながら拝聴。新しいアメリカ詩についての文章でおなじみの Hank Lazer は Oppen と Eigner についての話。Eigner は日本ではほとんど紹介されていないので、Cid Corman とのつながりのことを含め、勉強になった。Daniel Albright は別の国際学会でも話を聞いているが、今回は長髪で現れて驚く。ekphrasis についての話をされたが、テクスト全文をイメージとともにスクリーンに写して話された。英語がそれほどできない学生のことを配慮してのことだと思うが、国際学会ではこれもありだなと思った。

ホテルに戻って昼食。料理はなかなか立派。ここでは、ポルトガル出身で、武漢で教えているという先生と知り合う。日本人男性と結婚していて、日本語がよくできる方。東大でも教えておられたという。文学を教えたいので、こちらへ来たという。(日本だとなかなかそうしたポストがないとのこと。)優秀な教員を東アジア地域で奪い合うという状況がすでに生まれているようだ。昼食終了後、会場へ移動して、個別のセッション開始。O 先生がチェアを務める部屋に行って、ご発表を拝聴。立派なご発表で感心。O 先生の元同僚で、今はこの大学で教えておられるという T 先生も聞きに来ておられた。このセッションでは、O 先生の発表の後、中国人の詩人の発表もあったのだが、彼らは中国語で話したので、内容はわからなかった。一人は前回の学会での朗読会で長々と詩を読んだ人だった。たぶん中国でよく知られた詩人なのだと思う。次のセッションは失礼して、ホテルの部屋に戻る。自分の原稿を PDF にしたり、パワーポイントを仕上げたりといった作業をする。

それから夕食。Lazer 先生、それから、O 先生のセッションで中国語で話した詩人の皆さんと同じテーブルとなる。Lazer 先生は、祖先が日本経由でアメリカへ移住したということだった。杉原千畝がヴィザを発行したのだろうかと思ったが、時間がなくて詳しい話を聞けなかった。隣に座ったのは、広州で教えているという先生。英語もできるので、あれこれ話したが、なかなか貴重な話を聞けた。大学の制度作りも進めているようで、論文審査はどんな具合にやっているかといったことも聞かれた。料理は昼食同様なかなかよかった。前回のときよりもグレードアップしているかも。ワインが出てきたが、これも前回より質が上がっているように感じた。途中で失礼して、O 先生共々、ここで教えている T 先生と落ち合い、大学周辺を案内していただく。やはりこの数年で開発が進んでいるそうで、また昨年は地下鉄が開通して、街並みはきわめて近代化しているとのこと。地下鉄駅の前には東京のそれもびっくりという具合の立派なデパート?が出来ていた。貧富の差が拡大しているという話は夕食の時にも聞いたが、富める層の人たちが利用しているのでろう。T 先生は日本の大学を定年退職された後、請われてこの大学のある学科のスタートアップを手がけられたそうだが、なかなか真似できないことである。大学での仕事のこと、また、それとは別に、フランスで関係しておられる翻訳プロジェクトのことなど、いろいろ話を伺った。お忙しい時間を割いてご案内下さり、ありがとうございました。

学内を走る乗り合いカートのようなものに乗せていただき、ホテルに戻り、それから詩の朗読会へ。ちょうど文学と音楽を教えているというアメリカ人の先生がブルーズを1曲ご披露されているところであった。それから何人かの朗読を聞き、東京の T 先生の宮沢賢治の訳詩の朗読も拝聴。T 先生は前回もきちんと準備されて朗読をされていた。立派である。かくして学会初日は終了。