学会初日

ホテルのレストランでバイキング式の朝食を味わった後、朝8時から学会開始(Dialog on Poetry and Poetics: The 1st Convention of Chinese/American Association for Poetry and Poetics)。主催者、副学長、学部長の皆さんからの挨拶に続き、最初の基調講演。そのうちの一つは今回の主役の先生によるもの。自身の来し方を新批評からの批評史と重ね合わせて語るもので、いつもながら勉強になる。大いにメモ。それから、みんなでグランドに出て、記念撮影。勢揃いした参加者の数に驚きつつ、何段かあるスタンドの上から2番目に立つ。機械仕掛けのパノラマ撮影らしく、いくつかの角度ごとにピントを合わせていく。その作業をしながら、カメラマンが中国語のわかる皆さんを笑わせる。3、2、1のかけ声(多分)とともに、カメラが勝手に回転し、撮影終了。

それからホテルに戻り、朝と同じレストランでランチ。主賓の80歳の誕生パーティも兼ねていて、いくつかスピーチもあり、学生による演奏もあり、ワインも出て賑やか。自分もスピーチを頼まれていたが、どうも主催者側が日本人の名前を混同したらしく、自分ではなく、T先生の名前が呼ばれる。こちらも驚いたが、T先生もびっくり。とはいえ、T 先生は即興でスピーチをやりとげて立派であった。ランチ(パーティー)終了間際に、主賓の先生とも話をする。アメリカでお世話になった先生である。病気をされたと聞いていたご主人も、お孫さんもいっしょに来ている。ロスのお宅にお邪魔したとき、滞在していた近くの大学までご主人が車で来てピックアップしてくれた。そのことを話すと、覚えておいでのようだった。お孫さんとは同じ年にサンフランシスコで会って以来だが、大きくなっていて驚く。美術史を専攻しているらしい。医者であるご主人が再び招待を受けたそうで、来年お二人はまた東京へ来られるという。年齢にもかかわらず、実に元気で感心する。研修先の大学で知り合い、アメリカの学会で何度かいっしょに発表した友人とも再会。相変わらず元気で、武漢に来る前にはチベットに行ってきたという。高山病にならないためのアドヴァイスなど聞く。

午後はセッションがあったが、友人が司会を務めるものを一つ聞いた後、次のセッションは失礼し、T先生と連れだって銀行へ。参加者の一人にキャンパス内の銀行へ行く道を聞いて出発したのだが、途中で道がわからなくなったので、大学生に英語でたずねる。自分は1年生だからキャンパスの地理はよくわからないなどと言われた後、英語が比較的よくできる学生に出会い、目当ての銀行にたどり着く。小さな店内で聞くと、両替ならキャンパス外の銀行へ行けと言うので、再びしばらく歩いてそちらへ向かう。中国の銀行がどのようなシステムで運営されているのかわからないので、インフォメーション・ブースのようなところに座っていた警備員風の男性に英語で問い合わせると、用件を理解したようには見えなかったが、店内の窓口に連れて行かれ、そこで英語のできる人から書類を渡される。またブースに戻って書類に必要事項を書き込むと、番号の書かれた紙を渡され、座って自分の番号が呼ばれるのを待つ。番号は中国語に続いて英語でも読まれる。講座開設に来たとおぼしき中国人学生、留学生らとともに、しばらく待っていると、自分の番号が呼ばれ、円を元に替える。これで気分的に楽になった。

それからキャンパスに戻って、T先生の発表会場の下見につきあう。コンピュータ操作の確認をされていたが、システムは古く、うまくいくかいささか心配になった。実はこちらへ到着するまでプログラムの中身は知らされていなかったのだが、セッションは発表者が多いので、一人約10分程度しか時間がない。あらかじめ確認しなかったこちらが悪いのだが、自分もパワーポイントを使って20分という発表の用意をしてきた。しかし、そういうことであれば、接続にぐずぐずして他の人の時間を奪っては申し訳ないので、ハンドアウトのみの発表にしようと考える。

ホテルに戻り、夕食。今度は香港で教えているというアメリカ人の先生、広州で教えているという中国人の先生、ネパール出身でアメリカで勉強しているという学生らと話す。話してみると、香港の先生は科研で知り合った先生の同僚であることが判明。また同じ大学には、杭州での学会で基調講演をされた先生も教えておられるという。そういえば、テーブルは別だったが、杭州で知り合った浙江大の先生とも会うことができた。狭い世界である。おそらく地元の食材を使った料理なのであろう。魚、肉、野菜、麺その他を、ダイナスティという名のワインとともに堪能する。少し酩酊。

食後、部屋に戻って、用意してきた20分の発表をせっせと削って10分用に直す。かなり時間がかかったが、前半部がまるまるなくなってしまった。これではよくわからないかもしれないが、まああとは出たとこ勝負、と考えて寝る。