「錦絵の黄金時代」展

firecat2011-01-30

午後、ある先生にチケットを頂戴したので(ありがとうございました)、名古屋ボストン美術館にて「清長 歌麿 写楽 錦絵の黄金時代」展。鳥居清長、喜多川歌麿、東州斎写楽の作品を中心に展示する充実した展覧会。以前、同じ名古屋ボストンで肉筆画展(江戸の誘惑──ボストン美術館所蔵肉筆浮世絵展)を見たが、そのきらびやかな絵の数々に比べると、今回は版画なのでやはり地味。大判といっても、やはり肉筆画の大きな絵に比べれば小さい。しかし、版画には版画の味があり、エビせんべいの淡い赤みを帯びた表面のことを思ったりもしたが、着物の着色など実に魅力的。細かな腺を描き出す技術にも目を瞠る。やはり会場で見ておいてよかった。といっても、最終日の閉館1時間前に入って、駆け足で眺めただけなので、1枚1枚絵の前で立ち止まって、じっくりと見ることはできなかったのが残念ではあった。重心が上のほうにある清長の美人図は見栄えがするが、ときに不自然なまでに誇張されているような気もした。歌麿の「大川端夕涼」など面白いと思ったが、じっくり見ている時間がなくて残念。子供の絵、福禄寿の絵なども楽しかった。人の入りは結構よく、肉筆画展のときと同様、今回も若い人が多かった。和服を着た人、外国人もいて、江戸の絵に興味を持つ人はどういった人たちなのか、など考える。こちらは無知なので、これを買って当時の人たちはどうしたのだろうかとか、江戸時代の美人は今だとどの女優があてはまるのかといった他愛のないことを考える。図録も充実。冒頭に掲載されたトンプソンのエッセイには、西洋人による浮世絵評価の歴史的概観――とりわけ、18世紀末の黄金期とそれ以後の衰退という見方に対する批評家たちの態度の変遷――が書かれていて有益。フェノロサが退化論のレトリックを使っていること、写楽を評価しなかったことなど興味深い。

見終えた後、すぐ前にあるつくね屋本舗にて夕食。インフルエンザもあって、この時期鶏屋さんは大変だろうが、つくね、手羽先など、美味。一品一品ボリュームもあり、いささか食べ過ぎる。焼酎少々。